た愛機の中に、まだ無電装置だけは壊れずにあったことをおもいだしましたので、それを使って至急艦隊へ知らせようと、踵《くびす》をかえして、のこぎり山をかけおりました。
 どんどん走って、壊れ飛行機の上にとびのり、無電装置をいじってみますと、天のたすけか、うまく働くではありませんか。
 兵曹長は、しきりに艦隊の無電班によびかけました。すると、ひょっくり応答がはいってきました。
「おお、小浜兵曹長からの無電だ。小浜はもう海中に墜《お》ちて死んだかとおもっていたのに、ちゃんとこっちを呼んできたぞ」
 無電班は、おどろいたり、よろこんだり。

     5

 孤島から、小浜兵曹長がうった無電は、艦隊無電班をたいへん驚かせました。
 それから双方はしばらく、無電をさかんに打ちあいました。
「貴官は今、どこにいて、なにをしているのか」
 と、小浜兵曹長にたずねますと、
「自分は怪塔を見失い、嵐の中をむちゃくちゃにとびまわり、ついに無人島らしきところに不時着し、翼を折った。もう飛行機は飛べない。しかし身体には異状がないから、安心を乞う――応援に出動したという知らせのあったわが飛行隊はどうしたか」
 と
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