一彦が思い出したものがあります。それは、外からつづいていたあの気味のわるい血のあとのことです。
(そうだ。あの血のあと! あれはこの部屋へつづいていたが、どうなっているのかしら)
一彦は、少年探偵気どりで、血のあとをしらべにかかりました。
血は、この部屋にはいると、たいへんたくさん床の上にこぼれていました。それは、床の上になにかひきずっていったように、条《すじ》になっていました。その跡をつけていきますと、奥の隅っこにあるテーブルの上につづいていました。
テーブルの上にも、下にも、血はたくさんこぼれていました。そのうえ、テーブルの下には、血にそまったズボンが一つ落ちていました。
「あっ、こんなものが――」
と、一彦がとりあげてみますと、ズボンはひどく血によごれ、そしてナイフかなんかで切ったらしくずたずたにひきさいてありました。
「どうした一彦君。なに、血ぞめのズボンがあったというのか」
塩田大尉は、かけつけるなり、そのズボンをとりあげて、電灯の光の下でじっとながめていましたが、さっと顔色をかえ、
「あっ、これは見覚えがある縞《しま》ズボンだ。いつも大利根博士は、この縞ズボンをは
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