ったね。一体これは何の鍵だかわからないが、まあとにかく鍵をまわしてみよう」
まことに、変な隅っこに鍵穴があるのですから、二人とも、この鍵をまわしたとき、どんなことが起るのか、一向に見当がつきません。
「じゃあ、鍵をまわしますよ、いいですか」
一彦少年は、猿の鍵を右へひねってみました。するとがちゃりと音がして、錠はうまくはずれました。
「錠がはずれた」
「うむ、はずれたか」
二人が顔をみあわせたとたんの出来ごとでありました。どこか地の底で、ごうごうというモートルのまわる音がきこえだしたとおもったら、ぎりぎりぎりと金属のきしる音がして、二人の目の前にある壁全体が、しずかに上へあがっていくではありませんか。
「おや。壁が上へあがっていく」
「うむ、そうか。この壁の向こうに、まだ部屋があるんだ。一彦君、こっちへよっていたまえ。中からなにがとびだすかわからないから――」
塩田大尉は、少年をうしろにかばいました。そしてなおも怪音をたてて上へあがっていく壁をじっと注意していました。
ぎりぎりぎり。
重い扉は、なおも上へあがっていきます。壁の下からは、その奥にある部屋の床がみえてきました。
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