手をちょっと扉にふれますと、扉はまるで弾《はじ》かれたように、するすると上にあがってしまいました。
「おやっ、手をふれただけで、あいたよ。ははあ、すぐこの奥にとびこめるようになっているんだね」
さて、あいた扉の向こうには?
5
ぱっくりと開いた怪しの扉のうちは、なにがあるのか真暗でありました。
「一体、この中には、なにがあるのだろう」
塩田大尉と一彦とは、しばらく中をじっとみつめていましたが、なにしろ真暗で、なにも見えません。人のいるけはいでもと思って、耳をすましてじっと聞いていましたが、なんの音もしません。
「塩田大尉、とびこんでみましょうか」
一彦は元気にいいました。
「うん、ちょっと待ちたまえ。ためしてみるから。――」
塩田大尉は、ピストルを取出すと、室内の天井めがけて、ずどんと一発放ちました。
かあんという、固いものにぶつかる高い音が、銃声のあいだにきこえました。しかし、その銃声におどろいて、鼠一匹飛出してくる様子がありません。
「もう大丈夫だ。進め!」
塩田大尉は、まっさきに室内にとびこみました。つづいて一彦が。――
すると、ふしぎなことが起りま
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