それから今怪塔中におしこめられている帆村探偵や、それからまた例のふしぎな海辺に気をうしなっている勇士小浜兵曹長の活動を見まもることにいたしましょう。
「どうも私には、人の持っているものをさがすのは不得手《ふえて》だ。これはやはり帆村探偵の専門だよ」
と、艦隊の智慧ぶくろといわれる塩田大尉も、なれない室内さがしにややまいったようです。
「ねえ、塩田大尉、大利根博士は悪人なんでしょうか」
一彦少年は、戸棚の中に首をつっこんでいる大尉のうしろから、声をかけました。
この質問に、大尉はおどろいて、戸棚から顔をだしました。
「悪人? さあ、それが拙者《せっしゃ》にはどうもわからなくなったんだ。もともと博士は、じつに尊敬すべき学者だとおもって[#「学者だとおもって」は底本では「学者だともおもって」]いたんだけれど、こうして家さがしをしているうちに、だんだん変な気持になって来る。そう言えば、いつか博士が軍艦に来られたときも、言葉づかいやたち居ふるまいが、どうも変だったね。変り者の博士とは言え、むかしはあれほどそわそわしていなかった」
2
塩田大尉と一彦少年との話は、この家の主人
前へ
次へ
全352ページ中207ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング