リン節約はお国のため――というやつだな。しかし怪塔ロケットはすっかりおとなしくなったね」
「はい、おとなしくなりました。しかしあれでスピードを出しますと、まっすぐはとべないのですよ。御承知のとおりロケットの舵がこわれていますうえに、こっちの麻綱が舵の上からおさえつけていますので、スピードは出せますが、思う方向へとぶことができないのであります。つまり、どこへとぶのやらさっぱりわからないのであります」
「うん、どこへとぶやらさっぱりわからないわい。高度はいま一万メートルだが、いま何県の上空にいるやらさっぱり、下が見えないや」
3
怪塔ロケットにつながって、一万メートルの上空を滑走《かっそう》していく青江機上では、小浜・青江の二勇士が顔色一つかえずにのんきな話をつづけています。
「上官、まったく気持がいいですねえ。第一、エンジンをはたらかさなくてもいいからガソリンはいらないし、その上エンジンの音もプロペラの音もしないから、しずかでいい。ただうるさいのは、あの怪塔ロケットが放出するガスの音です」
「うん、ガスの音もかなわんけど、ガスの臭《におい》はいやだな。プロペラがまわらなく
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