ちくするくらいだよ。あと四五日すれば歩けると、院長さんがいったよ。僕は心配なしだけれど、心配なのは、帆村おじさんだ」
「ああ帆村おじさん! おじさんは、どうして」
「それがねえ、困っちゃったんだよ」と一彦はいいにくそうに、
「僕だけ逃げるのはいやだとおじさんにいったんだよ。だから一緒に逃げようと、いくどもすすめたんだけれど、おじさんは中々聞かないんだ。おじさんはまだこの塔の中でする仕事があるんだといってね、僕いやだったけれど、おじさんのいうとおり一人で報告にかえってきたんだ」
2
「兄ちゃん、帆村おじさんを残して来たことを、そんなに気にしないでもいいわ。誰も、兄ちゃんがいけない子だなんて思う人はなくってよ」
と、ミチ子は兄の一彦をなぐさめるのに一生懸命です。聞くもうるわしい兄妹の仲のよさでありました。
そういうかんしんな兄妹を、こうもくるしめるのは、一体誰のせいでしょうか。いうまでもなく、それは帝国軍艦淡路を怪しい力によって壊し、それから後、いろいろとおそろしいことや憎いことをやっている、怪塔王のせいにちがいありません。
怪塔王と言うのは、一体いかなる素性の人間なの
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