えたバンドをはずして、すくっと地上にたちあがりました。これをみていた一彦は、おもわず万歳《ばんざい》をさけびました。
塩田大尉は、すぐさま一彦のところへ駈けよりました。そして少年をなぐさめるとともに、持ってきた衛生材料でもって、手ぎわよく一彦の患部を消毒し、仮繃帯《かりほうたい》をぐるぐるまいてくれました。
「塩田大尉、ありがとう。どうもありがとう」
「いや、なあに。それよりも一彦君は、じつに元気だね。水兵だって、君の元気には負けてしまうぞ。――そして、一体君はどうして怪塔から抜けだしたのか。帆村君はどうした。はやく聞かせてくれ」
3
一彦は塩田大尉の手あつい介抱《かいほう》をうけ、さらに元気になり、そこで一体どうして一彦ひとりが怪塔から抜け出たか、そのあらましを語りだしたのでありました。
「――僕、おどろきましたよ。だって、怪塔が、ものすごいうなりごえをあげて、空高くまいあがったんですものねえ。それから空中をあちこちと、ぶんぶんとびまわり、どうなることかと、窓わくにすがりついて、ひやひやしているうちに、こんどはどすんと大きな震動とともに、怪塔がしずかにとまってしまっ
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