の山の中までのぼって来るのかい」
「そうさ。皆おどろいて、ここへのぼって来るよ。ああ言うふき方をすると、ちゃんと場所がわかるのさ」
「竹法螺をいろいろにふきわけて、ふもと村へ言葉を知らせられないの」
「ふきわけて言葉を知らせることができるかって。それは無理だ、息がつづかない」

     5

 炭やき爺さんは首をふって、竹法螺でもって、ふもと村へ言葉をおくるのには、とても息がつづかないと、ざんねんそうにいいましたので、これを聞いた一彦少年はちょっとがっかりいたしました。
 しかしながら、ふもと村からこの山の中まで、村人にえっさえっさとあがってきてもらい、また山をおりて、塩田大尉のところへ使にいってもらうのはどう考えても二重の手間だとおもいましたから、なにかほかに、いい通信のやりかたがあるまいかとおもい智恵袋をしぼってみました。
 そのとき、一彦の目にうつったものがありました。
 それは炭やき爺さんの、そこにつくってあった炭焼竈《すみやきかまど》でありました。
「うん、これはいいものが目にとまった」
 と一彦少年はおもわずひとりごとをいい、炭やき爺さんをよびました。
「いいものがあった
前へ 次へ
全352ページ中106ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング