え、お爺さん。すまないけれど、山をくだって、誰かに僕がここにいるということを知らせてくれないか」
一彦は熱心を面《おもて》にあらわして言いました。
日本の軍艦がひどくこわされてしまうと言う話を聞いて、炭やき爺さんはとびあがるほどおどろきました。なぜと言って、この爺さんの一人息子は水兵さんで、いま軍艦にのっているのです。軍艦は大切ですし、一人息子も大切です。
「ようし、じゃあこれからわしが村の衆《しゅう》へ知らせよう。待てよ、早くしらせるには、これから山をくだるよりももっといい方法があったっけ。もっともこれは、天地のひっくりかえるような大事件の時でないと、使ってはならぬと、村の衆とのあいだの申し合わせじゃが、怪塔王が日本の軍艦をめりめりこわすと言うのなら、この非常警報をつかってもかまわんじゃろ」
そう言うと、お爺さんは腰にさげていた鎌《かま》をとって、傍に生えていた太い竹を切りおとし、ころあいの長さにして穴をあけました。お爺さんは、なにをこしらえているのでしょうか。
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「お爺さん、竹を切って、それで一体なにをつくるの」
と、一彦は、お爺さんの手に握られた鎌が、器用
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