さっそく傷の手当をしてやるやら、小屋へつれて行くやらして、炭やきのお爺さんはおもいがけない仕事にくるくると働きました。
 少年がやっと正気にかえったのは、それから三十分も後でした。
 少年は気づくと、お爺さんの顔を見てびっくりし、にげ出そうとしましたが、足がきかないので、そのままぱったり顔をわらむしろのうえにふせ、
「ああ、いたいいたい」
 とわめきながら、いたむ足を抱えました。
 この少年は、誰であったでしょうか。
 一彦少年です。みなさんよく御存じの一彦君なのでありました――一彦といえば、彼は怪塔の中にいたはずですのに、なぜこんな山の中にころがっていたのでしょうか。
「どうだ、そんなにいたいかね。男の子だ、がまんをして、がまんをして」
 と、お爺さんはしきりに一彦をいたわっています。一彦は、歯をくいしばりながら、
「お爺さん、町へ知らせるのには、どうするのが一等早いの」
 とたずねました。

     2

 傷ついている少年から、町へ使《つかい》を出すにはどうするのが一ばん早いかと、聞かれた炭やき爺さんは、少年の顔をつくづく見やりつつ、
「町へ使をだすといっても、そんなにいく
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