「おい怪塔王、このへんで降参してはどうだ。わるいようには、はからわないぞ」
兵曹長は、牢獄のなかから、大きな声で怪塔王をどなりつけました。
「なにをいうんだ。捕虜のくせに、口のへらない生意気なやつだ」
と怪塔王は、ついに腹をたてたようでありました。
「まあ、そこにそうしてひとりでいばって居るがいい。いまに貴様は、自分でもって、どうしても黙らなきゃならないようにしてやる。そうだ、その前に、貴様にいいものを見せてやる」
「なんだと!」
「ふん、貴様がいま居るところを、どんなところと思っているのかね。まあいい、いま扉をあけて、外を見せてやろう。これを見たら、貴様はもうすこしおとなしくなることだろう。――さあそろそろあけるぞ」
怪塔王の声が、まだおわらないうちに、ふしぎや、彼の頭の上で、ぎいぎいと音がして、壁に四角な穴があきました。そして青い光がすうっとはいってきました。
おや何だろうか。
兵曹長は、痛む体を腕でおこして、頭の上にあいた四角な壁穴をのぞきました。
「ああっ、これは!」
兵曹長は、思わず大きな声を出しました。
四角な壁穴の外にはあついガラスがはってありましたが、その向こうに見えたのは、おそろしい海底の風景でした。
5
「どうだ、窓の外が見えるか。ゆっくり見物しているがいい」
そういいすてて、怪塔王の声は、天井裏から消えてしまいました。
窓外は、たしかに深い海底でありました。青い光に照らしだされて、大きな魚がおよいでいるのがみえました。海藻群が、ゆらゆらとまるで風をうけた林のようにゆらいでみえます。見るからに気味のわるい風景です。
そのうちに、小浜兵曹長がとじこめられている部屋の明かりが、海底にさしたものと見えて、魚がゆらゆらとガラス戸のところへ、よって来ました。
それをじっと見ていた小浜兵曹長は、はっとおどろきました。
窓を外からごつんごつんと鳴らしに来る魚が見えましたので、これをとくと見なおしますと、魚も魚、たいへんな魚でありました。それは、長さ四五メートルもあるような鮫《さめ》だの、海蛇だのでありました。それ等のおそろしい魚は、みな腹をへらしているものと見え、歯をむいて小浜兵曹長の顔がみえる窓のところへ、一つ、また一つとよって来ます。おそろしい海底の有様でありました。
(怪塔王は、おれをこんな魚に食べさせようと考えてい
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