それから今怪塔中におしこめられている帆村探偵や、それからまた例のふしぎな海辺に気をうしなっている勇士小浜兵曹長の活動を見まもることにいたしましょう。
「どうも私には、人の持っているものをさがすのは不得手《ふえて》だ。これはやはり帆村探偵の専門だよ」
と、艦隊の智慧ぶくろといわれる塩田大尉も、なれない室内さがしにややまいったようです。
「ねえ、塩田大尉、大利根博士は悪人なんでしょうか」
一彦少年は、戸棚の中に首をつっこんでいる大尉のうしろから、声をかけました。
この質問に、大尉はおどろいて、戸棚から顔をだしました。
「悪人? さあ、それが拙者《せっしゃ》にはどうもわからなくなったんだ。もともと博士は、じつに尊敬すべき学者だとおもって[#「学者だとおもって」は底本では「学者だともおもって」]いたんだけれど、こうして家さがしをしているうちに、だんだん変な気持になって来る。そう言えば、いつか博士が軍艦に来られたときも、言葉づかいやたち居ふるまいが、どうも変だったね。変り者の博士とは言え、むかしはあれほどそわそわしていなかった」
2
塩田大尉と一彦少年との話は、この家の主人大利根博士の上にくらい影をなげかけたことになりました。
ずいぶん家さがしをしてやりましたが、どこをひっくりかえしても博士の熱心な研究材料が山とつまれているばかりで、別に怪しい手紙もありません。
また、なんだかわけのわからぬ機械などが、たくさん並んでいましたが、これもまた別に怪塔ロケットに備っているほどの大仕掛のものではありませんでした。
これで見ると、大利根博士は、やっぱり尊敬すべき熱心な科学者としかうけとれませんでした。
塩田大尉は、ついに室のまん中にある丸い腰掛に腰をおろし、戦帽をぬいで丸刈頭に風を入れました。
「ざんねんながら、なんにも怪しいものが見つからん。一彦君、君もそこへ掛けたまえ。そうだ、いいものがある。これは軍艦の中で売っている別製のキャラメルだ。これを食べると、疲れもなおるし、それからまた、すばらしい考《かんがえ》がうかぶはずなんだ。さあたくさんお取り」
そう言って大尉は、青い函《はこ》にはいった、キャラメルを、一彦にすすめました。
「はあ、ありがとう。ずいぶん重宝なキャラメルがあるんですね」
一彦も、大尉と並んで、同じ形の腰掛に腰をおろし、そのみどりいろ
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