、どうなるかをひそかに診察しているわけだった。
(ふむ。だいたいわかったぞ。あとは、一番艇内でたいせつな機関室の金属の壁のぐあいを調べることができれば、それで下調べはすむ)
 怪人ガスコは、ほくそ笑んで、足をいよいよ機関室にうつした。
(よし。この部屋がすんだら、あとはすきを見て、まえにゆくこのテッド博士の脳を電波でかきみだしてやろう。ふふふ、もうしばらくだて……)
 一同の一番最後から、帆村が機関室にはいった。テッド博士は、そこにならんでいるたくさんの器械器具について非常にくわしく説明をはじめた。
「ああ、どうも暑い。この部屋は暑いですなあ」
 そういったのは、テイイ事務長で、ハンカチをだして、額に玉のようにうかびでた汗をぬぐうにいそがしい。
 事務長の外のお客さんは、そんなに暑がっていない。スコール艇長も、平気である。
 このとき三根夫少年は、たいへんいそがしかった。かれは作業服を着て、一段高い配電盤のまえに立って、一同のほうに背中を見せ、しきりに計器を見ながらハンドル型の調整器をまわしているのだった。誰が見てもそうとしか見えないが、じつは三根夫は反射鏡でお客さんたちのほうを見なが
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