ト大佐が隊長に耳うちしようとするのを、しっかり抱きとめた者があった。ふりかえると、それは帆村だった。
「いいのです。そのままにしてお置きなさい」
と、帆村は目で大佐に知らせた。
そこでギンネコ号の五名のお客さんを案内して、テッド博士をはじめ、ロバート大佐、ポオ助教授、帆村の四名が、その部屋をでた。まず操縦室から案内することになった。
スコール艇長は、ひげだらけの顔を上きげんにゆすぶりながら、上下左右へしきりに目をくばり、このロケットの構築《こうちく》ぶりをほめるのであった。それは、かりそめにも害心《がいしん》のある人物に見えなかった。
しかし帆村はもちろん、ロバート大佐もポオ助教授も、ゆだんはしていなかった。だがこの三人がスコール艇長、じつは怪人ガスコ氏の兇暴《きょうぼう》なる陰謀を知りつくしているわけではないから、危険は刻一刻とせまってくる。
三根夫の活躍
艇内を案内されてスコール艇長のガスコ氏が、とくに目を向けていたのは、このロケットの壁の厚さと材料と、その構造についてであった。宇宙レンズで、強力なる宇宙線の奔流《ほんりゅう》をこのロケットにあびせかけたとき
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