ちが訪問して親切にあつかわれたことについて礼をのべ、また目下の運命の知れない『宇宙の女王《クィーン》』号について情報をもたらしたことを感謝した。
「なあに、助けあうのはあたりまえのことだ。ましてや外に生物もいないこの宇宙のはてにおいて、人間同志はしたしくするほかない。仲よくしましょう」
 スコール艇長のことばはよかった。しかしかれの本心からでているかどうか、うたがわしい。
 これにたいしてテッド隊長は、どこまでもまじめに相手に礼をいった。そしてこっちもギンネコ号のためにできるだけのべんぎをはかりたいが、もし水や食糧品でもたりなければ、もっとおゆずりしてもいいといった。
「そんなものは、じゅうぶん持っている。おお、そうだ。協力で思い出したが、わしはこのロケットのなかを見たことがない。いいきかいだ。これから案内して、見せてもらいましょう」
 ロバート大佐が、スコール艇長の申し出にあるふあんをおぼえ、テッド隊長に注意をしたとき隊長はにっこり笑って、むぞうさにスコール艇長に答えた。
「ええ、それはおやすいご用です。さあわたしがご案内します」
 といって立ちあがった。
 これはたいへんと、ロバー
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