オ助教授の神経質な顔と帆村荘六の面白い顔とがのぞいていた。
「わしがギンネコ号の艇長だ、テッド博士はあなたかね」
スコール艇長は、ぶっきら棒にものをいう。
「わたしがテッド隊長です。よくおいでくださいました。部下の一部を紹介します」
と、テッド博士は礼儀ただしく副隊長以下の接伴員《せっぱんいん》たちを紹介した。そして、こちらへと客間にみちびいた。
帆村はスコール艇長を迎えたときに、大きいおどろきにぶつかった。ギンネコ号の艇長といえば、かれがなじみの鴨《かも》艇長だとばかり思っていたのに、それが意外にも、別人の髭《ひげ》もじゃの老人だったので、もうすこしで「あッ」と叫ぶところだった。
その帆村は、一番おくれて客間にはいった。そのまえにかれは、いつも影のようにかれについている三根夫少年の手をにぎり、指先を使ってなにごとかを三根夫に伝えたのであった。
三根夫は、帆村からの信号をりょうかいすると、さっと青くなり、それからこんどはぎゃくに赤くなった。そして目立たないように帆村のそばをはなれて、どこかへいってしまったのである。
客間では、テッド博士が、スコール艇長にむかい、きのう部下た
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