くまわって、こっちへ近づきます」監視員が、艇内へ放送した。
 なるほどテレビジョンの幕面《まくめん》に、それがうつっている。石油やガソリンを積む貨車に似たロケットだった。背中に、こぶのようなものがとびだしているのが、かわっていた。あっというまに三度ばかり司令艇のまわりをまわったが、あとになるほどスピードをおとして、四回目には母艇《ぼてい》ギンネコ号の探照灯をうけて胴中《どうなか》をきらきら輝かしながら、司令艇の出入り口のうえに、こぶのようなものがすいついていた。あざやかな投錨《とうびょう》ぶりだ。
 それから五分すると、そうほうの打ち合わせがうまくいって通路が開かれ、ギンネコ号の乗組員が五名、どかどかと司令艇のなかへはいってきた。
 先発は、ひげの老艇長スコール。そのあとに長身でやせぎすの事務長テイイがらくだ[#「らくだ」に傍点]のような顔をこうふんにふりたててしたがった。そのあとに空気服とかぶとをつけた武装いかめしい三人の部下がついていた。三人とも目ばかりぎょろつかせ、みょうな形の機銃らしいものをかまえている。
 テッド隊長は、副隊長のロバート大佐をしたがえて出迎えた。そのうしろにポ
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