ジョンを通じて特約報道としてアメリカはもちろん全世界にまき散らすんだ。――もちろんきみは引きうけてくれるね」
「その他に条件はあるのかね」
「ない。それよりはきみのほうの条件を聞かしてくれ」
「条件は別にないよ――おッと、ちょっと待ってくれ、カークハム君」
帆村は送話口《そうわぐち》でしゃべるのをちょっと中止して、横へ首をのばした。そこには三根夫がいて、しきりにじぶんの鼻を指さしていた。
「ゆきたいのか。……ふーん。しかしひどい目にあって泣きだしても知らないよ。大丈夫か。きっとだね」
帆村は小声の早口で甥《おい》とはなしてから、ふたたび映写幕のなかのカークハム氏と向きあった。
「条件はただ一つ。ぼくの甥の矢木三根夫という少年をぼくの助手として連れていくこと。いいだろうか」
「オーケー。では契約したよ」
カークハム氏はにっこり笑った。
「救援艇の出発一時間まえまでに、社へぼくをたずねてきてくれたまえ。それまでにこっちはいっさいの準備と手続きをしておく」
三根夫の買物
えらいことになった。
きゅうに話がきまって、アメリカへ飛ぶことになった。――いや、アメリカどころか
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