ョンがついていて、電話をかけてくる相手の顔が映写幕にうつる方式の電話機だった。
映写幕のなかに、血色のいいアメリカ人の顔がうつった。顔の背景に、宇宙図が見えていた。
「やあ、ミスター・ホムラ。ぼくはきみを引っ張りだす役目を仰《おお》せつかったのだ。うちの社できみを雇って、出張してもらおうというんだがね、行先は宇宙のまっ只中だ。聞いたろう、さっきの臨時ニュース放送を……」
ぶっきら棒に、さっそく用件を切りだしたそのアメリカ人は、ニューヨーク・ガゼット新聞の社会部記者として名の高いカークハム氏だった。そして彼カークハム氏は、これまで二、三の事件を通じて帆村荘六と知合いなのであった。
「だしぬけにぼくを引っ張りだして、どういう仕事をやれというのかね、カークハム君」
そういう帆村の声は、いつもの落ちついたしずかな調子であった。
「明朝はやく、こっちから『宇宙の女王』号の救援艇が十|隻《せき》出発する。その一つにきみは乗るんだ。もう救援隊長テッド博士の了解をえてあるが、きみは『宇宙の女王』号の捜査にしたがうんだ。そして記事を全部わが社へ送ってくれるんだ。わが社は、それを新聞、ラジオ、テレビ
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