と一言つぶやくのがれいだった。
 だから伯父帆村荘六が、いままでになく『宇宙の女王《クィーン》』号の遭難事件が、やがて全世界の人々をすっかりおびやかすほどの大事件にまで発展することを予言したのは、伯父がこの事件について、よほどおどろいたせいなのであろう。
 いや、さもなければ、伯父はなにかこういう事件の発生を待ちかまえていたところだったので、臨時ニュースを聞いているうちに、それだと知ってきゅうにおどろいたのかも知れない。伯父がメモに取った速記は、いまの臨時ニュースの全文のうつしなのであろう――と、三根夫は思った。
「世界じゅうの人々がさわぎだす事件て、それはいったいどんなことが起こるんですか」
「さあ、それはしばらくようすを見まもっているしかないね」
 このときはやくも伯父は、いつもの慎重な探偵の態度にもどってしまった。
 そのときであった。けたたましい呼出し音響《おんきょう》とともに外から電話がかかってきた。
「お、きたようだ」
 帆村は、かれにしか意味のわからないことをつぶやいて、電話機のほうへ足早にいった。
 かれがスイッチを入れたのは、国際電話の器械のほうだった。やはりテレビジ
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