だ気がついていない。
そのはなれ業のことを、ここですこしばかり読者諸君にもらしておこうと思う。
ギンネコ号が金属箔のかべを作ったあとのことであるが、流星かと見まごうばかりの快速ロケットが、救援隊とは反対の方向からギンネコ号にむかってどんどん距離をちぢめてくるのが、ギンネコ号にわかった。
テイイ事務長などは、そのしらせを受けると、大満悦《だいまんえつ》であった。そしてギンネコ号を、そのほうへ最高速力で近づけるとともに、うしろにはたえずレーダー妨害用の金属箔の雲をまきちらした。
快速ロケットはだんだん接近し、午前三時半頃には、ついにギンネコ号といっしょになった。たくみなる操縦によって、その快速ロケットは、ひらかれたるギンネコ号の横腹《よこはら》のなかに収容されたのであった。
見かけは古くさいギンネコ号には、意外に高級な仕掛けがあったのだ。
そしてこの快速ロケットは、銀色の葉巻のような形をしたもので、全長はギンネコ号の十何分の一しかなく、せいぜい一人か二人乗りのロケットらしかった。
テイイ事務長に迎えられて、快速ロケットのコスモ号から姿をあらわしたのは、身体の大きな緑色のスカー
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