、隊列からぬけると、うつくしい編隊を組んで、ギンネコ号のあとを追いかけた。
だが、彼《かれ》と我《われ》との距離は、いまはもうかなりへだたっていた。だからこの三台の追跡隊が、金属箔のかべのところまでいくには、四時間もかかって、午前五時となった。
ようやく金属箔のかべをつきぬけたのはいいが、そのむこうにまた金属箔のかべがあった。何重にも、それがあったのである。だからそのうるさいかべの全部をつきぬけるには、それからまた二時間もかかった。
「何かご用でもありますか。いそいで本艇を追っかけておいでになったようだが……」
とつぜん追跡隊へ無電がかかってきて、ギンネコ号からのいやみたっぷりな問いあわせであった。
「ええッ」
といって、追跡隊の人たちも、この返事にはつまった。じつに間のわるい話であった。
こっちをからかいながら、ギンネコ号は、いぜんとはうってかわって、いやにきげんがいい。
ふしぎなことであった。
覆面《ふくめん》の怪人物
さすがのテッド博士以下の救援隊幹部も、また名探偵といわれたことのある帆村荘六も、ギンネコ号がひそかにやってのけたはなれ業《わざ》には、ま
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