かり」に傍点]がうちだされた。
 それは円板の中央あたりからとびだしたものであるが、樽《たる》のような形をし、うしろに丸い紐《ひも》のようなものをひっぱっていた。
 しかしこれを見ると、紐ではなくて伸びちぢみのする螺旋《らせん》はしご[#「はしご」に傍点]であった。その先についている大樽みたいなものは、艇内から送られる電気力によって、相手のギンネコ号の艇壁《ていへき》にぴったり吸いついた。この引力いかり[#「いかり」に傍点]は、すごい吸引力を持っていて、艇内で電気を切らないかぎり、けっして相手から放れはしないという安心のできる宇宙用のいかり[#「いかり」に傍点]であった。
 これでギンネコ号は、側壁の扉を開かないわけにゆかなかった。
 すると円板ロケットの中から、三人の人影があらわれ、やや横に吹き流れた螺旋《らせん》はしご[#「はしご」に傍点]の中を上へのぼっていった。そしてはしごをのぼりつめると、ギンネコ号の横っ腹にあいた穴の中へもぐりこんでいった。
 このありさまは、救援隊の僚艇から集中するサーチライトによって、はっきりと見えた。そしてその三人の人影が、ものものしい宇宙服に身をかた
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