「それはどうかなあ。でもみんな死にはしないだろう」
「すると、この附近に『怪星ガン』もうろついていなければならないわけだね」
「カイセイガンて、なんだい」
「こいつ、あきれた奴だ。怪星ガンを知らないのか。『宇宙の女王』号が最後にうってよこした無電のなかに、おそるべき怪星ガンが近づきつつあることを、知らせてきたじゃないか」
「ああ、あれなら知っているよ。『宇宙の女王』号を襲撃した空の海賊――というのもおかしいが、おそるべき宇宙の賊だもの。きみの発音が悪いんだよ」
「あんな負けおしみをいっているよ」
 そんなことをいい合っているうちに、救援隊の九台のロケット艇はどんどん宇宙をのりこえていった。そしてやがてテレビジョンのなかに、かの宇宙艇らしきものの姿が捕えられた。
「おや、これはどうもちがうね。『宇宙の女王』号ではないようだ」
 テッド博士は、誰よりも先に、そういった。
「そうですね。形がちがいますね。もっと横を向いてくれると、はっきりわかるんですが……」
 まもなく、かの宇宙艇は針路をかえて横になった。
「なあんだ。あれはギンネコ号じゃないですか、宇宙|採取艇《さいしゅてい》の……」

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