い。どの星かの重力にひかれて動いていったことだろう。それもそろそろと動くのではなく、谷間に石を投げ落とすときのように加速度をくわえて飛んでいったかも知れない。
が、帆村のおじさんの話によって、そこまで探しあてるまえに、遭難地点の附近をしらべる仕事があることに気がついて、三根夫はなんだかきゅうにたいくつから救われたような気がした。あと三、四日で『宇宙の女王』号の遭難地点にたっするとは、なんという耳よりな話であろう。
三根夫は、いまやすっかりきげんがよくなった。このところさっぱり訪問をしなくなっていたところの操縦室へも、たびたび顔をだすようになった。
そのかいがあった。
それは翌日のことであったが、操縦士のところへ遠距離レーダー係から、
「前方に宇宙艇らしい形のものを感ずる、方位は……」
と知らせてきたので、にわかに艇内は活発になった。
もちろん隊長テッド博士も操縦室へすがたをあらわし、手落ちなく僚艇へ知らせ、監視を厳重にした。
艇内では、この話でもちきりだ。
「やっぱり『宇宙の女王』号は、遭難現場附近にいたね」
「どんなことになっているかな。生き残っている者があるだろうか」
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