三びき死んで四ひきとなった。しかしその後はどんどん子鼠が生まれて、一時は五十ぴき近くになった。
五十ぴきにもなると、食物の関係や、場所の関係があって、それ以上にふやせないことになった。そこでそれ以上にふえると、かわいそうだが、かたづけることにした。
白鼠の運動を見ているのは、楽しい時もあったが、地球を出発してからもはや百日に近い。白鼠の車まわしに見あきたのもあたりまえだろう。
「ねえ、帆村のおじさん。いったいいつになったら『宇宙の女王《クィーン》』号に追いつくんですか」
「さあ、それはいつだかわからないが『宇宙の女王』号が消息をたった現場まではあと二、三日でゆきつくそうだよ」
「えっ、それはほんとうですか」
三根夫は、『宇宙の女王』号の姿ばかりを追っかけていた。しかしよく考えてみると、それは今どこにいるかわからない。遭難しないで動いているとしても、あれから四カ月ちかくの日が過ぎたことであるから、その間にどこまで飛んでいったかわからない。
また遭難してじぶんの力で動けなくなったとしても、地上とはちがうんだから、それから四カ月ものながいあいだ、おなじ空間にじっとしているとは思われな
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