とも近きものは、現場より千三百万キロメートルをへだてた空間にある宇宙|採取艇《さいしゅてい》ギンネコ号であります。
以上がただいまお知らせすることの全部でありますが、十時の定時ニュースのときに、ついか放送することがあるはずでございます。
サミユル博士の『宇宙の女王』号遭難説に関する臨時ニュース放送をおわります」
国際電話で
臨時ニュースを聞きおわって、三根夫は、すがりつくように伯父のほうへ目を向けた。
すると帆村は、いつのまにか暗号器からはなれていて、小さな腰掛のうえに腰をおろして足を組み、膝のうえにメモをひらいて、鉛筆をにぎっていた。三根夫が見たとき、帆村はメモのうえに書きつけた速記文字を熱心に見入っていた。
「おじさん。たいへんなことがおきたものですね」
すると帆村は無言のままメモを持って立ちあがり、しずかに事務机のうえにおいた。このとき帆村の唇が、ぎゅっとへの字にまがった。それはこの名探偵が、何かある重大なる手がかりをつかんだときにするくせだった。
「おじさん。どうしたんですか」
三根夫は、伯父からしかられるだろうと思いながらも、そういって聞かずにはいら
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