時五十五分に『宇宙の女王』号は謎の文句をのせた無電を放送いたしました。その文句は、
『……航行不能におちいった、どこの故障なるや解くことをえず。艇および艇内気温異様に急上昇す、室温摂氏三十五度なり。乗員裸となる。二等運転士|佐伯《さえき》、怪星を前方に発見す、太陽系遊星にあらず、彗星にあらず、軌道法則にしたがわずふしんなり。ただいま突然、怪星怪光をあげて輝き、にわかにわれに接近す。われいまや怪星《かいせい》ガン』
電文はここで切れております。
それいらい『宇宙の女王』号よりの無電連絡はとだえておりまして、すでに一時間余を経過しており、同号の安否はすこぶる憂慮《ゆうりょ》されております。
同号は、非常のときに五種の救難信号を発するように設備せられていますが、いままでにその一つもつかまらないのであります。それから推察して、『宇宙の女王』号は、まえに読みました謎の無電の停止した直後に、おそるべき破壊または爆発をとげたものではないかと思われます。
なお、遭難地点にちかき空間を航行ちゅうの宇宙艇にたいし、救難のためその地点へ急行するよういらいをしましたが、調査によれば約三隻あり、そのもっ
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