ような第六号艇の爆発をじっと見つめていた。そして艇長ゲーナー少佐にたいし、ふたたび総員退避をすすめた。
「ゲーナー艇長。この次の爆発が起こると、原子力的な大爆発となるだろう。そうすれば、第六号艇だけでなく、のこりのわれわれ九台の宇宙艇もまたぜんぶ破壊するおそれがある。だから一刻もはやく総員を艇から退避させたまえ。きみたち救援のことは引き受けた」
隊長の忠言は、ゲーナー少佐をついに動かした。
「隊長。わかりました。総員退避を命令します。部下を救ってください。お願いします」
少佐はそこではじめて最後の命令をだした。
二十九名の乗組員は、部署をはなれて、空間漂流器《くうかんひょうりゅうき》をすばやく身体にとりつけると、艇外へ飛びだした。黒暗澹《こくあんたん》たる死のような空間へ……。
爆発原因
帆村は、手に汗をにぎって、映写幕のうえに見入っていた。
かれは、しばしばうなった。こうしてじっとして惨劇《さんげき》を見ているにたえなかった。じぶんもすぐ艇外へとびだして、あの気のどくな第六号艇の漂流者たちのなかに身を投じ、ともに苦しみともにはげましあって、この危機の脱出に協力
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