。
いまこの操縦室には、本隊の首脳部がのこらず集まっていた。もちろん隊長テッド博士が中心になって、なんとかして第六号艇をすくう道はないかと、一生けんめいにやっている。
その悲劇の第六号艇の姿は、操縦室の前方側面の壁に、大きくうつしだされている。それは一メートル四方のテレビジョン映写幕いっぱいにうつしだされているのだった。
艇の姿がななめになってうつっている。本艇よりはすこしおくれている。そして艇のうしろから三分の一の部分のところから七、八箇所も、えんえんと火を吹きだしている。その焔にまじって、まぶしいほどの火の塊が、ぼんぼんとはねながらとんでいる。それらの焔と煙とは、むざんな火の尾を長くうしろにひいている。それは艇の全長の五倍にものびていて、見ているだけで脳貧血が起こりそうである。
いったいどうしてこんな大椿事が起こったのであろうか。
第六号艇の艇長ゲーナー少佐は、原因不明だと無電でテッド隊長に報告している。この救援隊の十台のロケット艇がエフ十四号飛行場を出発するとき、地上では不吉《ふきつ》な流言《りゅうげん》がおこなわれたが、それがとうとうほんものになったようでもある。
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