ロケット艇《てい》へかえりつきたいものと、三根夫はねがった。辻のところまでくるとテレビジョン塔が、まえに聴衆もいないのに、ひとりでアナウンスをし、むだと見えるニュース画面を映写幕のうえにうつしだしていた。三根夫は、そのまえにちょっと足をとめた。
「……われらの敵アドロ彗星は、ただいま八十万キロの後方に迫っています。画面に見える白熱《はくねつ》の光りの塊《かたまり》がそれであります」とアナウンスの声に、三根夫は映写幕に目をうつした、なるほど漆黒《しっこく》の大宇宙がうつっているが、その左下のところに、ぎらぎらと白熱光をあげている気味のわるい光りの塊がうつっていた。光りの尾をひいているらしく、それがときどき方向をかえるのだった。そのたびに凄惨《せいさん》の気がみなぎった。
「……もしもわれわれが、ただいま以上にスピードをあげることができないとすると、あと約二時間三十分で、我々はアドロ彗星に追いつかれてしまう計算となります。ただし我々の機関区はいまなおこれいじょうにスピードをあげるために努力していますから、それに成功すれば、この時間のよゆうは、もっと延《の》びるはずであります。まだ非常配置に
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