がものをいうぞ」ガスコは、苦しまぎれに、ハイロを地球人といいはって、この場の不利をごま化そうとした。ハイロは、ますます怒った。
「ばかなことをいうな。おまえさんじゃあるまいし、顔の皮をむいて、下からもう一つ顔をだすなんて、そんな器用なことができるものか。わしはガン人だ。見そこなってもらうまい」
「いや、ガン人なものか、地球人だ。引っ立てて、警備軍へ渡してくれるぞ」
さすがのガスコも、相手がガン人とわかっては、ピストルの引金《ひきがね》を引くわけにいかなくなり、こんどは警備軍へひき渡すといいだした。
このとき三根夫がハイロのところへ寄った。そしでハイロの耳に、なにかをささやいた。ハイロは大きくうなずくと、目を皿のようにして、ガスコのほうへ一歩前進した。
「わしはガン人として、おまえさんに聞きただすことがある。おまえさんは、何の理由があって立入り禁止の天蓋をうろうろしているのかね」
「うむ。それは……」
と、ガスコは痛いところをつかれて、醜い顔をいっそうゆがめて、ことばにつまった。
「まだおまえさんに聞くことがある。おまえさんが、あそこへおいてきた長い筒は、あれはいったい何に使うもの
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