困った。
ガスコは、ハイロのほうへ寄ってきた。そして一挺のピストルをポケットにしまい、そのあいた方でハイロの頭を手さぐりして、かれの大きな耳をつかんだ。
「やい。きさまも、はやくお面をぬぐんだ」
「あ痛た、たッたッたッたッ」ガスコは、ハイロが正真正銘のガン人であることにもっと先に気がついていなくてはならなかった。ハイロの頭や手足が見えなくなったときに、ハイロこそガン人のひとりだとさとるべきだった。ところがガスコは、はじめからハイロを、三根夫とおなじ地球人であると思いこんでいたために、この重大なまちがいをしでかしたのだ。
ハイロは、いやというほどガスコに耳をねじられたので、すっかり怒ってしまった。
「らんぼうなことをする奴だ。おまえさんは何者だ。見れば地球人じゃないか。地球人のくせにガン人であるわしを殺すというのかい」
と、ハイロにせまられて、ガスコは返事につまった。ガン人を殺すことは許されないのだ。まんいちそんなことをしたら、あとで極刑《きょっけい》になるのはわかり切っていた。
「いや。きさまはガン人なものか。地球人にちがいない。はやくそのお面をぬぐんだ。ぬがないと、このピストル
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