たと思った。このガン人のために三根夫がつきだされるとハイロ自身も、そうとう重い刑罰をうけなくてはならないであろう。そう思ったハイロは、とにかくここで相手をうちたおし、その気絶しているまに三根夫の手をとって逃げるならば、あるいはじぶんの身柄《みがら》をかくすことに成功するかもしれないと考え、全身の力をこめて、大男のあごをつきあげた。
 不意をくらった相手は「うッ」とうなると、うしろへよろめいて、仰向《ああむ》けにどたんとたおれた。すると意外なことが起こった。かれの頭部がはずれて、ころころと向うへころげたのであった。
 ということは、かれもまたお面をかぶっていたというわけだった。
「この野郎」くるっと一転すると、かれはすっくと立ちあがった。お面のかわりに、地球人のまっ赤な顔が、怒りと不安にゆがんでいた。その顔に見おぼえがある三根夫だった。
「やあ。ガスコだ。スコール艇長と名乗っていたガスコだ」
 読者はおぼえていられるであろう。この物語のはじめに出没《しゅつぼつ》した覆面《ふくめん》の怪人《かいじん》ガスコであった。またギンネコ号の艇長スコールだと名乗って、テッド博士|座乗《ざじょう》のロ
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