ルより低くはないと思われた。この三十メートルは同時にこの天蓋の厚さでもあった。すばらしく厚い天蓋だ。
 その天蓋が、するすると伸びていって大空をおおったのを見たのだ。こんな厚いものが、どうしてあのような速さで伸びていったのであろうか。そのふしぎな謎は天蓋の構造にかかっているのだ。
(いったい、天蓋は、どんな構造になっているんだね)と、三根夫はハイロにたずねたくなった。が、それはできなかった。ハイロのむずかしい目つきにぶつかったからである。
(三根夫さん。一口も、口をきいてはいけませんぞ。さっき注意しておいたでしょう)
 と、ハイロは無言で三根夫をしかりつけているのだ。だからといって、三根夫はそのことをあきらめることはできなかった。そこで、思い切って、手まねでもって、ハイロにたずねた。通ずるか通じないかわからないが、壁をたたくまねをし、そしてその構造はどうか、中はどうなっているかを教えてくれと、一生けんめいに手まねを工夫して、ハイロにたずねた。
 ハイロは、はじめは、あきれはてたという顔つきで、目を白黒させていたが、やがて、ハイロは手まねをもって答えだした。手まねというやり方を、ハイロは
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