おもしろく思ったから、三根夫に答えてやることになったのであろう。
(なるほど。そうかい)
三根夫は、やはり手まねであいづちをうった。ハイロの手まねの全部がわかったわけではないが、そうしないとハイロが手まねのおしゃべりをやめてしまうおそれがあったから、ほどよくあいづちをうったのである。それで、ハイロの手まねをかいどくして、わかったように思うことは、この天蓋をつくっている壁体はすくなくとも三重になっているらしい。中は袋のようになっていて、そこの中に原子力であたためられた或るガスがつまっているらしい。そのガスは、ぎっしりと袋の中につまっているので金属とおなじくらいに固く感ぜられる。その外に、あと二重に樹脂のような生地の袋がかぶさっていて、ガスが外へもれることをふせぐと共に、外部から砲弾などをうちかけられても、はねかえす力を持たせてあるものらしい。
らしい、らしいの話ばかりで、正確なことはわからないのが残念だが、いずれ町へかえってから、ハイロにたずねなおせばいいであろうと、三根夫はがまんした。そして残りの階段をひと息にのぼり切っていよいよ一番高いところに立った。それは、丸い小天井《こてんじ
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