ハイロのヘリコプターは、うまく吊り橋にとりついたようであった。そこでかれもまねをして、そちらへ近づいていった。
 環状の吊り橋は、かなり大きいものであって、こんな豆ヘリコプターなら、同時に四、五十台が、はいれそうであった。それをくぐって、のぼっていくと、吊り橋の内側が、こういうヘリコプターがちょこんと乗るのにつごうがいいように、桟橋になっていた。ハイロの指図により三根夫は、ハイロのヘリコプターのすぐとなりに着橋した。そしてハイロに手つだってもらって、ヘリコプターにしばりつけていたバンドを解き、身体の自由をとりもどし、はじめて吊り橋の上に立った。三根夫は、うっかり下を見た。
「うわッ。目がくらむ」
 ふらふらとして、らんかんにしがみついた。
「あ、注意をしてくださいよ。下へ落ちると、死にますよ。そして化けの皮がやぶれて、わしは陰謀加担者として罰せられますからね。さあ、手をとってあげます。下を見ないで、上のほうばかり見ているのです。こっちへいらっしゃい」
 と、ハイロは三根夫の手をひっぱった。
「待ってくれたまえ。大事な品物を、ここへおいていってはたいへんだ」
 三根夫は、さっき目がまわっ
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