天蓋を外へぬけられないのかね。ぼくは、天蓋の外へでてみたいんだがね」
それは三根夫がじぶんの使命をはたすために、ぜひそうしなくてはならないことだった。
「それは、吊り橋へ着いてからあとのことにしてください。誰にも知られないで、あの吊り橋へあがることは、ひと苦労なんですからね。とにかく、わしのするとおりに、ばんじをやってください」
「さあ、速度をおとして……」そういってハイロは、きりきりと上へのぼっていった。
いよいよ天井は近くなった。吊り橋にヘリコプターのプロペラがぶつかりそうだ。ハイロは、巧妙に飛んでいる。三根夫は、そのとき、一つの発見をした。
「ははあ、あれが桟橋《さんばし》だな」
それは二、三十メートル前方に見えてきた環状《かんじょう》になっている吊り橋だった。そこには、四方からのびてきた吊り橋が、丸い環状の吊り橋をささえているのだった。どうもその環状になった穴のところへ、下からヘリコプターがのぼってはいるのではないかと思った。
まさに、そのとおりだった。ハイロはうしろへふりかえって、三根夫に合図をすると、ずうッとその環のなかへはいってのぼっていった。三根夫が見ていると、
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