法を教えた。
「こうすれば、立っていることもできるんですよ」
腰をかける座席のところをはずすと、そのまま立っていられた。着陸のときは、こうして立ったままおりるとぐあいがいいそうだ。
「さあ、のぼりましょう。ちょっと高いですから、目をまわさないように、わたしについていらっしゃい」そういってハイロがとび立った。そこで三根夫もつづいて操縦釦をおした。
「あ、これは愉快だ」身体がきゅうに軽くなった。すーッと空中へとびあがっている。頭の上と座席のうしろとにプロペラがまわっているが、あまり大きな音がしない。ぐんぐんのぼっていった。三根夫の感じで五千メートルぐらいのぼったとき、ハイロが横へきて、上を指した。
「ほら天蓋が見えるでしょう。格子《こうし》の目のようになっていて、その上に何かのっているのが見えませんか」
「ああ、見える。なるほど、あれが天蓋か」
とうとう問題の天蓋のそばまできた。天蓋の構造がよくわかっていないと、とても脱出計画は成功しないのだ。三根夫は緊張の極《きょく》、身体がぶるぶるふるえだした。
巨大なる天蓋《てんがい》
三根夫の胸は、はげしくおどった。見える! 頭
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