ハイロよりもすこし低い。そして、なるべく見とがめられないようにと、かたくなって歩いている。ハイロは、三根夫がいままでに見たことのないところへ、案内してくれというものだから、まず地下道へはいっていった。
これまでテッド博士をはじめ、地球人間はこの地下道へはまったくはいることを許されなかったものである。それは工場ばかりであった。なぜこんなに沢山の工場がならんでいるのか、なぜそんな必要があるのか、三根夫にはわけがわからなかった。それで、そっとハイロにたずねた。
「そんなことはわかっているじゃありませんか。われわれの生活にいるものをじゅうぶんに作るには、これだけの工場がいるんです」生活必需品の工場ばかりだった。家具をこしらえたり、器物をつくったり、紙や衣料をこしらえている。食物の加工をする工場も、たくさんあった。
三根夫は一つ質問を思いついた。
「ハイロ君。この国にはどこに畑があるのかしら。果物や野菜なんかつくるにはやっぱり畑がいるのでしょう」
「ふふふ。それは、もう一階下ですよ」
そういってハイロは、三根夫を、さらにもう一階下へ案内した。地階へおりるには、動いている道路というものがあっ
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