ちの仲間がどこにいるのか分らなくて、きっとへま[#「へま」に傍点]をやるでしょうからね」
「これは便利だ。さあ、でかけよう」
「でかけましょう。留守番のカルカン君にあとをよく頼んできます。そうだ、この南京ねずみのはいっている箱は、わしが持っていってあげましょう」
「あ、それはいいんだ。ぼくが持っていく」
 三根夫は、卓子《テーブル》の上においた箱のほうへいそいで両手をのばし、それを大事そうにかかえた。じつはこの箱には、南京ねずみが十ぴきはいっているほかに、この箱は秘密の写真機と録音機になっているのであった。その使い道は、いまさらいうまでもなく、怪星ガンの重要なる場所を写真にとったり、脱出方法の発見の手がかりになるような音響や、ガン人の話を録音してくるためだった。
 なるほど、こんな大切な箱包みなら、ハイロに持ってもらうことはできないはずだ。


   秘密の地階へ


 ハイロは、三根夫をつれて、外へでた。
 ちょっと見たところ、ふたりのガン人が歩いているとしか見えない。
 うしろをふりかえったり、横を見たりいそがしく身体を動かしているほうの、すこし背の高い方がハイロだった。三根夫は、
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