の音にあわせて、人形とおなじようなかっこうで踊りだしたほどだ。悪かったかれのきげんも、すっかりどこかへ吹きとんでしまったようである。
「そのほか、ぼくはこの箱の中に、十ぴきの南京《ナンキン》ねずみをいれて持ってきたんだよ。まんいち、途中でやかましくいう者があったら、これを一ぴきずつあげて、きげんをなおしてもらおうと思うんだ。ハイロ君、よろしくやってくれたまえね」
「ああ、それはいいことだ」
「もし、見物がおわるまでに、南京ねずみが残れば、みんなきみにあげますよ」
「おお、それはたいへんけっこうです。それではあなたの仕度をはじめましょう」
ハイロは、三根夫のために、ちゃんとガン人のお面と、服と靴とを用意してあったのだ。まず靴をはいた。こうしておけば、ガン人とおなじ足あとがつく。それからお面をすっぽりと頭からかぶった。それは胸のところまではいった。そのうえに、服を着た。すると三根夫は、すっかり頭でっかちのガン人に見えるようになった。
「目のところは、よく合っていますかい」
「ああ、よく合っていますよ。これはありがたい、変調眼鏡もつけておいてくれたのね」
「そうですよ。それがないと、わした
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