しょう」
 そこで三根夫は、怪星ガンの名所見物をすることができるようになったのだ。もっとも、この妙案は、三根夫が考えついたものではなく、あらかじめテッド隊長のまえで幹部があつまって、ちえをしぼったもので、主として帆村荘六の考えだしたものだった。
 さて三根夫は、サミユル博士の家へハイロをたずねていった。ハイロは、その日はきげんがよくなかった。
「三根夫さん。あぶないから、見物はもっと先にのばしましょう」
「いやいや、早いほうがいいよ。ぼくは、もうちゃんとお土産なんかも用意してきたんだもの。やくそくどおり、すぐでかけようよ」三根夫は、ハイロがまだ知らない品物をおくりものとしてかれにあたえた。それはオルゴール人形だった。
 箱の上に、美しい少女の人形が立っていた。箱の横にあるネジをまき、人形の背中についている釦《ボタン》に、ちょっとさわるときれいなオルゴールの曲がなりはじめ、それと同時に人形がおどりはじめるのだった。このオルゴール人形は、三根夫が地球を出発するときに、買物をした三つの品物のうちの一つであり、そして一等高価なものだった。このおくりものは、たいへんハイロの気に入った。オルゴール
前へ 次へ
全239ページ中173ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング