の中を自由に歩くことはできません。見つかれば、三根夫さんはすぐとらえられて、牢の中へほうりこまれ、死刑になってしまうでしょう。だから、そのことばかりはだめです。あきらめてもらいましょう」と、はっきりいった。
 しかし三根夫は、あきらめなかった。なお、いろいろとハイロにねだったり、質問してはかれの考えをいったりした。
「それじゃあ、ほくがきみたちとおなじような顔や身なりをしていれば、それでいいんでしょう。そんなことは、わけないや、ねえハイロ君。ぼくのために、きみとおなじ顔つきのお面をこしらえてくれたまえ。頭からすっぽりかぶれるような構造になっているのがいいね。それからきみの服を貸してくれたまえ。なるべくすそが長くて、足がかくれるようなのがいい。そして、他にきみたちの仲間がいるときは、ぼくは決して口をきかなければいいんでしょう。ねえハイロ君、そうしようよ」
 そういわれて、ハイロはしぶしぶしょうちしてしまった。
「じゃあ、そうしますか。しかし、へたをするとたいへんなことになるがなあ」
「大丈夫だよ、ハイロ君。ぼくは、へまなことをやりゃしないよ」
「それでは、お面と服と靴は、わしが用意をしま
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