はこんなところにいつまでも、とまっていることはできない。われわれはできるだけはやい機会にこの国を脱出しなくてはならない。わしは、ずっとまえから、脱出の決心をして、いろいろとその方法を考えていたところだ。きみも、わしの気持はわかってくれるだろう」
「は、もちろんですとも」
「そこで、脱出に必要ないろいろなものを、われわれは手にいれたいのだ。その変調眼鏡もその中の一つだが、そのほかにいろいろ必要なものがある。じつは、何がこの国から脱出するのに必要なのか、その研究もまだじゅうぶんにできていない。これからみんなで手わけして研究しながら、必要な脱出道具を手にいれていきたい。これは表向きにいったんでは、手にはいらないことがわかっている。ついては、これから先、三根夫君の手によって、それをやってもらいたいと思うんだ。どうだね、きみの意見は」
「隊長にあらためて敬意をささげます。そのかたいご決心と、ねん入りなご準備のことをうけたまわって、わたしもうれしいです」
「じゃあ、その方針で進むことにしよう。これは非常に困難な事業だが、われわれは全力をあげて成功させなくてはならないんだ」
テッド隊長と帆村荘六の
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