手は、しっかりと握られた。


   計画公表


「怪星ガンから脱出するんだ」隊長のかたい決心は、ひそかに隊員全部に伝えられた。
「しかし、そのことは、あくまでガン人にはさとられないように注意をする必要がある」
 もっともなことだった。怪星ガン人が隊員の待遇をたいへんよくしているのも、結局隊員たちをながくここにとめておきたいからなのであろう。だからもし、隊員がここから脱出する決意を知ったら、ガン人はきっと怒りだすであろうし、待遇はわるくなり、自由はうばわれるにちがいない。隊長が、隊員たちに極力秘密をまもるようにといったのは、もっともだ。
「みんなは、それぞれ、脱出にひつような知識をうることに気をつけていること」
 捕虜生活に、気をくさらせていた隊員たちは、隊長の決心がわかったので、困難ではあるが、大きな希望をつかむことができた。だから隊員たちは、目に見えて元気になった。
 ガン人の監視がないと思われる真夜中に、ねんのために変調眼鏡であたりをよくしらべたうえで、隊員たちはベッドから顔をだして、それぞれの脱出計画の意見を交換することがはやった。
「おれの考えでは、なんとかして天窓をあける
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