っと顔色をかえた。
「そして、いまこの部屋には、顔をだしていないのかね」
 それは大丈夫であった。帆村は、変調眼鏡を三根夫に借りてきて、頭からかぶって、天井の換気穴《かんきあな》に注意しながら、ガン人の覗いていないことをたしかめながらしゃべっているのであった。
「それで、隊長。わたしはこのさい、三根夫をつかってどんどん南京ねずみを売りだし、あのふしぎな働きをする変調眼鏡をどんどん買いこみたいと思うのです。どう思われますか」
「それはいいことだ。そういうものがあるなら、われわれはそれを利用して、ガン人に対抗していきたいと思うね」
「では、さっそく、その用意をしましょう。南京ねずみも、大いに繁殖《はんしょく》させるよう飼育班《しいくはん》を編成いたしましょう」
「そうだ。そのほうのことはきみにまかせる。そしていまわしは、重大なることを思いついたのだ。もっとこっちへ寄りたまえ」テッド隊長はひきよせんばかり帆村をそばへ招き、
「われわれはこの国でいまたいへんよく待遇されているし、またいろいろ観察したところ、ガン人はわれわれよりもずっとすぐれた、科学力その他を持っているように思う。しかしわれわれ
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