手柄だ。ふーン南京《ナンキン》ねずみが、そんなに高く売れたとは、おもしろい」
 三根夫の頭が変になったのでなかったことが、よほどうれしかったと見え、帆村のひとりしゃべりはしばらくやまなかった。


   秘密の指令


 三根夫がはるばる地球から持ってきて、これまで飼いつづけた南京《ナンキン》ねずみは、このようにお手柄をたてた。そして、それはお手柄のたてはじめであったともいえる。というわけは、それからも南京ねずみはたいへんよく売れた。みんなハイロが買いとっていくのだった。売り手も、もちろん三根夫ひとりであった。
 その南京ねずみも、はじめとはちがって、だんだんに、いいおそえものがつくようになった。それはかわいい南京ねずみの家であった。赤や青や黄のペンキで塗られ、塔のような形をしたものもあれば、農家そっくりのものもあった。それから南京ねずみのくるくるとまわす車も、だんだんきれいな模様がつくようになった。ハイロのよろこんだことはいうまでもない。かれはそれを、いままでの分よりももっと高価に、ガン人たちへ又売りをすることができるのであったから。
 このだんだん手のこんできた美しいおそえものは、
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