いたように、美しいとりどりの衣裳が、隊員と隊員の間の空席に現われた。
「おお、これは……」
「どうぞよろしく」
衣裳だけのへんてこなものが、左右へあいさつをした。まったく珍妙な光景だった。
変調|眼鏡《めがね》
宴会はそれから軽快な奏楽《そうがく》とともにはじまって、でてくる飲みものや食べるものの豪華なことといったら、隊員たちのどぎもをぬくにじゅうぶんであった。
隊員たちは、はじめは気味がわるかったが、口にいれたものがおいしかったので、それからあとは飲み、そして食べ大きげんであった。歌を歌うものもあり、ダンスを見せるものもあった。
「もうこのへんで、主人側の美しい顔を見せてくれてもいいじゃないか」
酔っぱらった隊員のひとりが、席に立って腕をふっていた。
「いや、いずれ見ていただく日がきましょう。それまでお待ちください」
「もう待ちきれませんね。衣装だけのお化けと酒もりしているのはやりきれませんからね」
「ごもっともです。しかし、物事には順序というものがあることを、みなさんもごぞんじでしょう」
とガンマ和尚《おしょう》はいった。
「なにが順序だって……」
「とにか
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